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インタビュー「子どものために保護者と手をつなぐ」小野田正利大阪大学大学院教授が語る

2010年 5月 16日
ワークショップ中の小野田正利

 小野田正利先生は、保護者と学校との在り方を研究し「モンスターペアレント」という語が登場する前から「親のイチャモン」として問題提起していました。元気でユーモアたっぷりの講演会は大人気で、ここ数年、講演依頼は年間500を越えます。

「それだけ現場のニーズになっているんですね。最近はPTAからの依頼も多いんですよ。」とおっしゃいます。『悲鳴をあげる学校』 (旬報社)、『親はモンスターじゃない』(学事出版)など著書多数。

Q: 「モンスターペアレント」という言葉についてどう思われますか?
A: 教師からはモンスターに見えても子どもにとっては親です。「モンスターペアレント」なんて言っちゃいけないですね。モンスターとレッテルはると、向き合って共に解決しようとする姿勢がなくなります。この言葉が流行って、保護者は正当な要望にも躊躇するようになり、学校はモンスター対策という考え方を持つようになった。その弊害は大きいと思います。

カメラに笑いかける小野田正利

Q: 適切な対応の心構えを教えてください。
A: クレームの90%以上は善意なのです。激しい言い方から悪意と取ってしまうことで、双方がエスカレートすることも多いと感じています。高飛車に出ないことです。まずお茶を出しましょう。「そういう気持ちにしてしまい、申し訳ありません」と謝ること自体は悪いことではありません。「イチャモン」を額面通りに受け取るのではなく、その保護者が実際に求めていることを察知し、解決策を探る姿勢を持ちたいですね。また、メールや電話のやりとりはこじれやすいので、直接会うのが一番です。
  ただ、適切に対応してもこじれる場合もあります。早めに校内で情報を共有しましょう。保健所・警察・弁護士などの専門機関・専門家の助言を受けながら対応することも考えましょう。一人で抱え込まず、「子どものためにもっとみんなで考えていきましょう」ということから視線をそらさずに接していって欲しいと思います。